メニュー

ご挨拶

小豆島中央病院企業団
企業長 佐藤 清人

小豆島中央病院企業団
企業長 佐藤 清人

 小豆島中央病院のホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
 早いもので2016年4月の開院から5年が経過し、6年目を迎えることになりました。昨年度は新型コロナウイルスという未知の脅威との戦いに明け暮れる大変厳しい1年でした。特に12月には島内でも集団感染(クラスター)が発生し、感染症病棟には開院当初の想定を大きく上回る数の患者さまが入院され、毎日多数の患者さまが発熱外来を受診されました。その結果、一般病棟や一般外来の業務も強く圧迫され、病院業務全体に大きな負担がかかりました。十分な人員の確保ができていない中、また自分自身や家族の感染リスクという大きなプレッシャーの中、小豆島の最後の砦として、職員全員が心を一つにして何とか難局を乗り切ったという状況です。未だ出口の見えない長期戦ではありますが、今後もワクチン接種を軸として、一刻も早い感染終息をめざし、職員一丸となって邁進いたします。
 全国に335の二次医療圏(健康増進・疾病予防から入院治療まで一般的な保健医療を提供する区域で、一般に複数の市区町村で構成されている)が設定されており、香川県には3つの二次医療圏(東部・西部・小豆)がありますが、その外来医師偏在指標(人口10万人あたりの外来医師数の指標:平成31年2月時点)は、東部が全国14位(138.4)、西部が69位(111.8)といずれも外来医師多数区域となっている一方、小豆は334位(48.0)と全国で最も医師の少ない医療圏の1つとなっており、人員確保の責任者としては忸怩たる思いがあります。開院前から現在に至るまで、香川県・香川大学と連絡を密に取り、常勤医の確保に努めてまいりましたが、残念ながら十分な確保に至っておりません。しかし、この少ない人員体制の中ではありますが、当院職員は自己研鑽に励み、一丸となって「地域の皆さまに寄り添う病院」として、良質かつ適切な医療を提供し、皆さまから親しまれ、信頼される病院づくりに努めてまいりますので、引き続きご理解とご支援のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

2021年5月

 

小豆島中央病院
院長 山口 真弘

小豆島中央病院 院長 山口 真弘

 当院は、島で唯一の公立病院として2016年4月に開院しました。また当院は、島内に存在する医療機関自体が少ないため、救急・急性期医療から亜急性期や医療必要度の高い慢性期医療まで、全ての機能を網羅する必要があります。一方で、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示すために、地域ごとの医療ニーズや人口構成、医師の性年齢構成等を踏まえた医師偏在指標が2019年に国から示されましたが、三次医療圏(原則都道府県単位)の比較で香川県は上位15位であるものの、二次医療圏(複数の市区町村で構成され、救急医療を含む一般的な入院治療を完結するために設定された地域)の比較の中で小豆医療圏は、335医療圏中281番目と下位1/3に含まれ、決して十分な医師数が確保できている地域とは言えません。地域に寄り添った医療の提供と幅広い医療ニーズに応えるために、当院で完結できる急性期疾患は可能な限り対応しつつ、専門性の高い疾病については香川大学医学部附属病院や香川県立中央病院などの島外の病院と密に連携し、高度急性期には治療を依頼し、病状が落ち着けば再度転院していただき、引き続きの治療やリハビリテーションを行なっています。

 急性期疾患で入院された方は、症状が安定し次第退院となるのですが、高齢化が全国に先駆けて進む小豆島においては、症状は改善したものの身体的・精神的な機能低下がみられていたり、生活面での支えが十分でないため退院しても早期に再入院する可能性が高くなる方が多数いらっしゃいます。在宅生活に向けて、医療や介護の関係機関が包括的かつ継続的に連携する必要性があり、その役割を果たすのが「地域包括ケア病床」です。この地域包括ケア病床は、すぐに自宅や施設での療養に移行することに不安がある患者さんに対して、在宅復帰に向けた診療、看護、リハビリを行うことを目的とした病床です。患者さんが安心して、スムーズに在宅に復帰できるよう、医師、看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカーなど多職種が協力して、在宅復帰に向けたサポートを行なっています。

 さて、日本の高齢化は世界に先駆けて進んでおり、すでに全人口の4人に1人が65歳以上になっています。さらに小豆島の高齢化率は40%を超えており、2.5人に1人が65歳以上であり、100歳以上の高齢者も年々増加しています。寿命が長くなるということは、医療の比重が慢性期疾患により大きくなるということです。従来の健康とは、主に「病気がない状態」を指しており、医療は急性疾患をターゲットに据えつつ、病気を治したり、社会復帰を促したりすることに力点を置いていました。しかし、慢性疾患となると完全な治癒が難しいため、病気とともに生活することになります。こうした状況では、単に病気を治すだけでなく、看護職や介護職など多職種や地域社会との連携も視野に入れ、患者の生活全般を支えることが求められます。つまり、「治す医療」ではなく、QOLを重視した「治し、支える医療」へ転換し、切れ目のない体制、いわゆる「地域包括ケアシステム」の構築を進めることが小豆島の喫緊の課題です。当院は、このシステムの核となるべく行政、医師会、消防、学校などと話し合いをし連携を取りながら進めています。

私は常日頃から、職員の心得として病院スタッフに伝えていることがあります。それは、小豆島中央病院(Shodoshima Central Hospital)の頭文字を使い、以下のことを実践できるよう指導しています。

S(Specialty):「専門であるという意識を持って行動する」

… 自分の仕事に誇りをもって行動するだけでなく、他職種の仕事も尊重し合いながら仕事をしていきます。

C(Community):「地域の人たちに寄り添う医療を提供する」

… 当院の基本理念にもある、『地域の皆さまに寄り添う病院』を目指します。

H(Hospitality):「島内外に関わらず、人に安心を持ってもらえる病院」

… 小豆島は、観光事業にも力を注いでおります。私たちも同様に、島外からの方に対してもおもてなし精神を持って医療を提供いたします。また、忙しい中でも周囲をきちんと観察し声をかけることのできる、いわゆる「気づき」をこころがけます。

 自分が選んだ道のスキルを伸ばし、常に優しさと気遣いとさらに笑顔を持って、寄り添う医療を提供できる職員を育てていきたいと思っていますので、今後とも島のよりよい医療を進めていくためにも多くの方々のご助力とご意見をよろしくお願いします。

                                        2021年10月

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME